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電子の絆

某国、孤島。

ケンがぼやく。「ったく俺をどこまで振り回すつもりだよ。2500万円くれた後に学校とバイト休ませて、訳わかんねー島に連れてきて。」 「2500万円の中には口止め料金と拘束料金が入ってまーす。」アンリが意地悪く言う。

黒ずくめの男は片言の日本語で話した。。「カツラアンリ、お前の父親から聞いた。お前の父親は優秀なスパイだった。我が国に大きく貢献した。そのお前の父親が認めた後継者がお前だ。」 「アンタ、パパの知り合い?」アンリは目を輝かせた。「戦友とでも言おうか。私も諜報活動を行っていた。お前の父親は日本のあらゆる機密を我が国に流してくれた。私はお前の父親を尊敬している。」

「でも、2重スパイだったんでしょ?」アンリは男に言った。「我が国の情報も日本に漏れていた。だが、優秀な人材をその程度のことで抹殺するより、次世代の人材を生む種になってもらうことを選んだ。」 男は続けた。「スパイとしての野生の勘。遺伝子。それが宿った子供を作り、我が国に届けることを条件にお前の父親を生かした。結局宗教団体の教祖になり、信者たちに数十人の子供を孕ませたらしい。」

「数十人の子供を…、孕ませた…?」アンリが繰り返す。ケンが叫んだ。「頭大丈夫かよお前!?種?孕ませる?孤児として育ったこいつの気持ちになってみろよ!」 「いいのよ、ケン。」アンリはなだめるように言った。「空想の中のパパはいつだって神様だったわ。でも本当のパパがただの人間でも、神様になることを目指したような人だってんなら話は別。」

男が口を開く。「今の話を聞いても我が国に協力できるのだな?」アンリはケンの腕を引っ張って応えた。「この人はアタシの初恋でイマも好きな人。この人と二人で楽園に住めるくらいの報酬を用意して。」ケンが真っ赤になる。(俺もお前が初恋で今も片思いだと思ってたよ)「でもっ!でもコイツラ絶対頭おかしいぞ!アンリ!お前イカレタ集団の仲間入りすんのかよ?」ケンは自分の動揺を隠そうと必要以上に常識的な意見を言った。「2重スパイの成れの果てが一瞬で5000万円作り出す財力。その本家のやつらがどれだけのものか見てみたくない?」アンリはそう言うがケンは呆れてさっきの愛の告白のことも忘れそうになっていた。

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