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新しい都 第2話

男はまず新都社の概要をつかもうとした。

各種作品を各々が投稿する。読んだ人はコメントを書くことができる。コメント数に応じて順位づけされたランキングがある。更新された順にソートされた新着作品はトップページに並ぶ。etc・・・、etc・・・。

何か描こう。コーヒーを淹れ、電子タバコのスイッチを入れた。俺に描けるものといえばシュールと称した意味のないギャグか日常を称した何も起きないだけの話だろうか?その時男は気づいた。「他の人が描いている作品を研究しよう。」

タバコのバッテリーが半分ほど無くなったころ、一つの目途がついた。明日の仕事を考えるともう寝る必要がある。そんなことはどうだっていい。あの頃の、自分が夢中になって描いてた漫画というものへの渇望とでも呼べる感情、平たく言うと創作意欲が湧いている。決めた。漫画のタイトルは

「ニートマン」

ニートの主人公が昼夜逆転の生活をしていて夜な夜な起きだすと町の平和を守るスーパーヒーローになるのだ。男は殴り書きしたA4用紙を低解像度でスキャンし、ウィンドウズペイントでセリフを入れた。なるべく広告の少ない無料サーバをレンタルしてアップロード。新都社へ公開する。

気づくと朝になっていた。腰が痛い。しぶしぶ仕事に向かうも心は新都社で一杯だった。コメントは・・・、くるのか・・・?気もそぞろで働いたあと家に帰りパソコンの電源を全力で入れる。コメントは・・・、あった・・・。

「なかなかいい感じじゃないの。期待」

男は昨日の徹夜が嘘のように目が冴えていた。

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